映画館でやらかしてしまっている男女がいたら、それは私たちかもしれない。

 映画館で映画を見る醍醐味 

私とジェイは映画を見るのが大好きです。
同じ歳なので、カナダと日本という別々の国で育ったにもかかわらず、同じ映画を見て成長してきました。

初めてデートをした時も「映画が好き」という共通点があったので、何とか会話にも困らず楽しい初デートを過ごすことができました。それも今ではいい思い出。

最近はコロナの影響で映画館にも行けませんが、自粛前は月に2回ほどは"auマンデイ"を大いに活用し、映画館に行きまくっていました。(auマンデイがあるから携帯をauに変えたといっても過言ではない)

自宅でNetflixやアマゾンプライムを使って見る映画もリラックス出来て好きなのですが、やっぱり映画館で見るほうが映画そのものに集中することができ、見終わった後も余韻に浸ることが出来るので大好きです。

ちなみに私はエンドロール中に映画の内容を思い出し、時に感動超大作の場合はエンドロールで再度大号泣をしております。

 恐ろしい程の喰いっぷり。映画館で見たジェイの脅威 

ジェイは無類のポップコーン好き。


映画館で映画を見る時は、絶対にポップコーンを購入します。
上映時間ギリギリになってしまい、急いでシアター内に入らなければならない時でも早口でポップコーンを注文しています。

私もポップコーンは好きですが、一人で映画館で売ってるあのサイズを食べきれる自信が無いので、ジェイの購入したポップコーンを忍び手で奪うのが私のミッションです。

そんなポップコーンを愛してやまないジェイなのですが、私はいつも映画館でジェイにドン引きしています。なぜなら・・・。

私達は、映画が始まる前の予告編を見るのが大好きなのですが、ジェイは席に着いた時からポップコーン早食い競争の為、戦闘モードに入ります。
私が映画の予告編を見ながら「次はこれ見よう~。あっこれも面白そう~。」なんて思っている最中、凄まじい程の勢いでポップコーンに喰らいついているのです。

一度に手に取るポップコーンの量はハムスター3匹分、いや地球サイズのドラゴンボールくらいはあります。
それを一度に口に運ぶのです。えぇ、私はドン引きです。

基本的に映画の本編が始まって5分くらいで、ポップコーンのボックスは空になっています。

ジェイ曰く、映画には集中したいからポップコーンを食べる時の音は邪魔になるのだとのこと。その為に早くポップコーンを食べ終わりたいんだとのこと。

じゃー食うなよって感じですが、「映画とポップコーンはセットなんだよ。ポップコーンが無ければ映画のクオリティは下がるし、映画が無ければポップコーンの味は下がるんだ。」とのこと。
もう全然わかりません。次元が違います。

 2017年公開の【Get Out(ゲットアウト)】をご存知ですか。 

2017年を代表する映画と言えば、ゲットアウトですよね。
その年のアカデミーアワードの【ジェイ・えむチョイス賞】のグランプリは、満場一致でゲットアウトでした。

例に漏れず、ゲットアウトも公開してすぐに映画館に見に行きました。

その時、私もお腹が減っていたので、ジェイにポップコーンを全て食べ尽くされる危機を避けるため、自分用に小さめサイズのポップコーンを注文しました。

映画はめちゃくちゃスリリングで気味悪い。でもそれと同時にブラックユーモアがてんこもり。

ゲットアウトを作ったジョーダン・ピエール監督、元々はコメディアン。
全体的には薄気味悪いし、めちゃくちゃ怖い作品なのですが、随所に皮肉たっぷりのジョークが散りばめられています。
日本語に字幕変換できない、些細なジョークもてんこもりなのです。

よくありがちな、「映画館で日本人は誰も笑っていないのに外国人だけ笑ってる」瞬間ってありますよね。
この映画も典型的なそんな瞬間を感じる事が出来る作品だと思います。

普段は比較的シャイであまり目立とうとしないジェイも、映画館でコメディーを見ると人が変わったように3オクターブくらい高くなった笑い声で「ヒャヒャヒャヒャ」「ダァ~ッハハハハッ」「ヒィーヒィー」と笑います。

ゲットアウトを見てる時も、周囲との温度差は必然的でした。
私は上映中で暗くなっているとはいえ、めちゃくちゃ恥ずかしさを感じていました。

「(本当勘弁してよ・・・)」とジェイを冷ややかに見下し映画を見ていたのですが、そんな私に天罰が。

映画も佳境に迫り、どんどん主人公の状況は緊迫していきます。
私は、ハラハラドキドキ、時には眼球の半分を手のひらで隠しながら映画を見ていました。

映画の終盤で、大パニックなシーンから主人公が命からがら逃げだせた、と安心できる瞬間があります。私も主人公同様に本当に安堵していました。
「ようやくこれで、この最悪の状況から抜け出せるね。よかったね。」と主人公と共にビクトリーを分かち合っていた瞬間に、最大のサプライズをかますのです。

もう、それはそれはビビりました。
安心していた時に訪れるびっくりが一番効果的だと感じたのは、後にも先にもこの瞬間だけです。

ビビりの私がしでかしたこと

その日、私は空腹を和らげる為に、ジェイにポップコーンを全て奪い取られない為に、自分用にポップコーンを買っていました。
そしてそれをジェイに取られないように、ジェイの席とは真逆の場所にセットしていました

ポップコーンはすぐにお腹が膨れるので、映画の佳境になっても1/3はまだ底に残っていたのですが、
なんと私はそのサプライズシーンの瞬間、驚きのあまり膝の上に置いていた手が自動反応し、天へ万歳する形になりました。
椅子にセットしていた、食べかけのポップコーンボックスも私の手と同時に空中へと舞います。
私たちの後ろに座っていた人にも空中を舞うポップコーンの影が見えたことでしょう。

横で何が起きたのか全く状況が把握出来ていないジェイ。
私は自分の大失態に穴があったら入りたい状態です。

映画の最中大声で笑いこけるジェイをあんなに見下していた自分を恨みます。
平日で人はそんなにいなかったですが、同じ空間で映画を見ていた人達、本当にごめんなさいでした。

映画を見終わった後、私の席の周りはポップコーンの残骸が・・・。
シアターを出たところでゴミを回収している人に、自分のしでかした醜態を伝え座席番号を言い、平謝りし、そそくさと帰りました。本当にすみませんでした。

映画館で観るのは本当に楽しいです。でもいついかなる状況でも常に緊張感を持ち、映画は見ないといけません。
そんなことを教えてくれる映画ゲットアウト。是非時間があってミステリーホラーが好きなら一見の価値ありです。
怖いのはもちろんですが、もっと深い題材を扱っているのがこの映画の凄いところ。
映画を観た後に、あれはどういうことなんだろう・・・、あっあれはそういうことだったのか。と何度も見直したくなる映画です。